日々、考える。日常。

物書きをしてゆきたいカワスミが、日々考えたことをストックするためのブログです。

2014年、これからの僕らの謝罪に、一滴のアートを。

  618日に行われた東京都議会で塩村文夏(あやか)都議に「自分が早く結婚すればいい」などと男性都議がヤジを発した事件が、世間を大きく騒がせました。夕方のテレビでも注目の的。マツコ・デラックス氏は「全部カメラが撮ってるんだから早く出しちゃえばいいのよ!それで誰が言ったかハッキリさせればいいじゃない!」と怒り、北斗晶氏は「まるで子供の学級会みたい」と嘆きます。数日間誰もが名乗り出ないことで問題は波紋を呼び、日本の女性差別について多くの海外メディアが強く批判しました。

 

 結局「自分がヤジを言いました」と名乗り出たのは、ヤジは複数いるとの検証も報道ステーションなどでされる中、鈴木章浩都議ただ一人でした。23日午後、鈴木都議は塩村都議と面会し、謝罪しました。二人をツーショットで映し出すカメラ、深く頭を下げる鈴木都議に浴びせられたフラッシュの大洪水。女性の権利や、地方議員の資質自体が問われる大きな事件となりました。

 

 息をつく間もなく、またもや信じられない謝罪会見を私たちはテレビやインターネット越しに目にすることとなります。それは、兵庫の野々村竜太郎県議の政務活動費の使途不明問題。71日に、彼はこれまで誰もが見たことのない、まるでふなっしーのように全身全霊で泣き叫ぶ謝罪をカメラの前でやってみせました。あの英国タイムズ紙にまで「フルスロットル謝罪」と題される始末です。インターネットでは支離滅裂な謝罪をアレンジした動画が爆発的にヒットしています。

 

 さて、働くみなさん、ビジネスマンやサラリーマンのみなさん、フルスロットル謝罪、しますか?まるでインターネットで根強い人気を誇る「地獄のミサワ」の漫画みたいですね。いえ、もはや、漫画より笑えることが皮肉にも現実に起こってしまいました。LINEをビジネスで使うユーザーが増えている昨今、LINE株式会社の田端信太郎氏は「LINEスタンプを売るコツはビジネスで使えるものにすること」とクリエイターたちにアドバイスしました。私は、LINEで謝罪するときは「地獄のミサワ」スタンプの土下座ポーズを送ることが多いのですが、鈴木都議(とおぼしき人物の)スタンプや野々村県議(とおぼしき人物の)スタンプ、もしも売り出されたらすぐに買いたいと思います。

  この私たちの何ともモヤモヤする思い、毎晩発泡酒を飲んでもちっともスッキリしない思いに応えてくれる現代アート、なんと、私がこよなく愛する東京カルチャーの聖地、中野ブロードウェイで発見してきました!

  中野ブロードウェイ2階に2013年にオープンして人気の、現代美術家村上隆氏がプロデュースするカフェ「Bar Zingaro(バー・ジンガロ)」で、塩村都議と思われる女性をドットで描いたポートレート作品が628日より展示され、一躍話題となりました。同じものを特に何も説明もつけずにアップロードした村上隆氏のInstagram(インスタグラム)も大人気。お店で配布されたポップなステッカーはすぐになくなってしまった模様です。

  と同時に、中野ブロードウェイ地下1階に店を構える、日本初の3Dプリンター屋「東京メイカー」では、すぐに鈴木都議が深く頭を下げる場面を立体的に仕上げた「謝罪コースター」が作り出されました。店長の中村翼氏曰く「社会問題を真っ先に取り上げる、これこそがアートです!」とのこと。私はその生き様や仕事っぷりにひたすら「あらやだカッコイイ!」とため息しか出ません。Twitter上では「謝罪コースター」の写真に「これがほんとのカタチだけ」との名リプライも出現、「謝罪座布団」の登場が待ち望まれます。

  ビジネスシーンでこれをどう使っていくか、考えてみました。現代をサバイバルするビジネスマンのバッグの底にひとつ、「謝罪コースター」をひそませておく。実にファッショナブルです。仕事でミスをしてしまったら、これらを反面教師として潔く名乗り出て、上司のデスクまで、冷たいアイスコーヒーと「謝罪コースター」をセットで持って向かいましょう。クライアントに弁解せねばならないときも、シャツのポケットにスマートに「謝罪コースター」。白く、薄いので持ち運びにも便利です。商談のカフェですっと取り出す「謝罪コースター」、相手はそのタイムリーさに釘付けです。この際、オリンピック効果で訪れる外国人の方にも「謝罪コースター」で日本茶を出し、おもてなししてしまいましょう。

  もちろん、こんなひみつ道具をあなたが装備できているとしても、けっして謝罪の際に号泣してはいけません、大人のたしなみですから。

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(あるWebメディアへの応募原稿として書かせていただきました。快くご協力いただいた東京メイカーさんへのアクセスはこちら。http://www.tokyo-maker.com/ほんとうにありがとうございました。)