ザルツブルグのてっぺんで、女たちは叫んだ。
いつも寡黙な大野サトルが、固く腕組みをしながら、
この日、オーストリアのザルツブルグに、
モーツァルトの家。使っていたピアノや楽譜やペン。
この街ぜんたいを見渡すには、
しかし、季節は冬であった。ケーブルカーの乗り場には「
「い、いやっ、ここまで来たんだよお?登ろうよっ!」
と、オーノがまた、叫んだ。
雪を踏みしめ、何度も滑り落ちそうになりながらも、
あの景色を、今でもオーノは自宅でピアノに向かいながら、
徐々に日が落ちる。幹線道路に浮かび上がる光の列。
空は容赦なく黒く沈んでゆくが、
「うおおおおおおおっ!やっほおおおおおおおお!」
突然サキが奇声をあげて、城壁の一番上までよじ登った。
「北村さん、降りなって!死んじゃうよお、死んじゃうって!」
オーノはサキの足元に駆け寄って説得しようと試みてはみたものの
「だって、こんなにきれいなんだもん。
オロオロしながらオーノは、優等生タイプのアヤコを振り返った。
「私も登る!見るっ!」
アヤコも城壁によじ登りだした。コートを翻してサキとアヤコは、
「うおおおおおお!日本に帰りたくないよおおお!」
「モーツァルトみたいにずっとここで暮らしたいよおおおおおお!
オーノは、二人の女の背中越しに、美しいザルツブルグの風景を、
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すいません、えーとこれは、なんだっけ。えーと、1200字で生々しい旅行記を書け、と言われたので、各所から協力を得て書いた、ザルツブルグの山に登って降りてきた話でした。初稿はもっと長くてまとまんなくて、これもまあまとまってないんだけど、まあこれで今日は妥協、ぐらいの…。あとこれ、最大の問題は1500字ぐらいあるんだよね…。
エピソード自体がまあ、これは酷い話!って感じに雑で面白いので(誰もザルツブルグの山からダイブして死ぬ!と叫ぶやつはそんなにいない…ガンジス河でバタフライみたいな感じで調理できるんじゃないかと思ったりする)、まあもうこれしかないかな、と。あとは富山の刺身が旨かった、ぐらいしか私の人生にはあんまし話題がない。あ、あと大阪のバーで飲むのが楽しい、とか、色々あるな!あったあった。
居酒屋で思い出話をしてくれてネタ提供をしてくれたオーノさん、サキさん(私の作文の書き出しまで、飲み会解散のホームで決まる飲み会最高やで!)、それから私のために城の画像検索をちょっぱやでしてくれ、ウィーンでは肉と鍋を食わせてくれたEさん、みなさんご協力ありがとうございました。ウィーンへの旅はほんとに素敵だったな。あの旅は多分一生忘れないなー。